偏心加工
旋盤での加工は円筒状のワークを切削し、中心から対称となるのが基本ですが、クランクのように偏芯した部分を有するワークを製作する場合偏心加工が必要となります。
・代表的な加工方法
ワークのサイズ、偏心量によってチャッキングの仕方も変わってきます。持っているツールや行いたい加工により選択しましょう。
・4爪チャックによる加工
4爪のインデペンデントチャックを用いて行うのが最も基本的な偏心加工の方法です。4爪チャックは3爪チャックよりもワークの芯出しが良く行えますが、偏心させたチャッキングも精度良く行えます。
・3爪チャックによる加工
3爪チャックでも簡易的に偏心させたチャッキングが行えます。4爪に比べて偏心させられる距離は短いですが、普段から3爪チャックを多用している場合や4爪チャックを持っていない場合は有効です。
方法としては、偏心させたい量のシム等を1つの爪とワークの間へはさみ込み、そのままチャッキングを行います。こうすることで挟み込むシムの厚みの量だけ芯がオフセットされます。この方法は3爪チャックでの芯を出す方法としても使用できます。
3爪での偏心加工は4爪に比べてチャッキングできるワークのサイズが小さくなるため、大きめのワークを偏心加工する場合は4爪か面板での加工をお勧めします。
・面板による加工
面板での過去の場合、板物や角材などの複雑な形状のワークを固定することができます。偏心量もチャックを用いた場合より多くできるため、段取りは面倒ですが加工できる範囲が広いです。
・位置の出し方
偏心させる距離に応じて位置出しの方法を選びます。
・偏心量→小
ダイヤルゲージにて偏芯している量を測定するのが一番正確です。偏心量が著しく大きいとダイヤルゲージの可動範囲を超えてしまうため、持っているダイヤルゲージの測定範囲までであればこの方法にて行うのが良いでしょう。
偏心させたワークの外周へダイヤルゲージを当ててフレを測定します。希望する偏心量の倍の値となるように位置を合わせていきます。
考え方
→偏心がゼロの場合当たり前ですが、ダイヤルゲージのメモリはフレません。
偏心させる中心位置を円周上に持ってきた場合はワークの直径分の量がダイヤルゲージでフレます。この時の偏心量は中心から半径分です。すなわち、測定量の半分の値となります。
・偏心量→大
ダイヤルゲージの測定範囲を大きく超える場合やそもそも円筒形状のワークでない場合ダイヤルゲージにて測定することはできません。
この場合はワークの端面に偏心させる位置の中心をポンチなどでマーキングしておきます。その位置に固定センターを当て、ワークをチャッキングします。