突切り・溝入れ加工
完成したワークを精密に切り落とし（突切り）たり、Oリングをはめ込む溝等の溝入れ加工があります。通常の切削と違い、バイトがワークに食い込んで双方をだめにしてしまうこともある難易度の高い加工です。
・突切りと溝入れの違い
双方ともに同じバイトを使用した同様の加工ですが、深さが違います。
・突切り（切り落とし）
完成したワークを任意の長さで切削により切断する作業のとこです。切り落としとも呼びますが、同様の加工です。加工には突っ切りバイトまたは切り落としカッター等を使用します。
単に溝入れを行うだけでなく、ワークの中心部まで溝を深くしていき最終的に切断します。
注意しなければいけないのは、突切り加工の場合最終的にワークが切り離されてしまうため、通常の切削と同様に行っているとワークが飛んでいってしまう可能性があります。
安全に行うためには以下のような例があります。
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ある程度つながったままの状態に加工（かなり深い溝加工で留める）し、手などでもぎ取ってしまう方法です。
この方法のメリットは完全に切り離された状態にならないため、ワークが飛んでいってしまう危険がないということです。ただし、ヘソが残ってしまうため掴み直してその部分を取り除く必要があります。
�▲錙璽�の中心にシャフトを差し込み飛散防止をする
中心に穴が空いているワークであれば、心押台にドリルチャックを取り付けてワークの穴より若干小さいシャフト等をドリルチャックで掴み、そのシャフトを穴に挿入して突切り後に飛散防止するという方法があります。
この方法のメリットは最後まで突切りが行えるため、�，諒�法のようにヘソが残らない点にあります。ただし、ワークの中心に穴が空いている場合にしかこの方法は使えません。
��振れ止めとセンターを活用する
振れ止めで支持するだけで十分な場合もありますが、センターにて端面を支えていれば更に安定します。センター穴がない場合は心押台の軸で支えるだけでも十分ですが、強く当てすぎると突切り加工に影響してしまうので油を塗布して軽く支える程度で十分です。
振れ止めを持っていないとこの方法は使えません。
上記の方法以外にもアイディア次第で様々な方法があります。危険な例として手で支えながら加工する方法をネットなどで見かけますが、巻き込まれてしまう危険があるため加工中のワークには手を触れないようにしましょう。
・溝入れ
基本的に突切り加工とほぼ同様で、違いは最後まで切り落とさないという点のみです。
ただし、溝入れの場合は突っ切りと違い溝深さを希望寸法に仕上げる必要があるため、径方向の送り量にも気をつける必要があります。
ノギスやマイクロメーターなどが入らない幅の溝の場合はパスツールを活用して溝の深さを間接測定します。
余談ですが、プーリーなどを製作する際にも溝入れバイトを使用します。基本的に軸方向の切削は行えないため、径方向のみで段階的に加工を行い、テーパー部の仕上げは旋回台を用いて行います。
・使用するバイト
突切り・溝入れバイトには様々な種類があります。各種類別に用途とメリットを以下にまとめました。
・付け刃タイプのバイト
付け刃バイトのタイプは自分刃先を研磨してから使用するバイトです。突切り・溝入れの付け刃バイトは多くがヘールバイトとなっています。突切り・溝入れ加工は仕上げの加工よりも切削負荷に敏感な加工のためヘールバイトが多用されます。
・ステッキバイト
板状の完成バイトをマウントするステッキバイトというバイトがあります。刃先が摩耗してきたら再度研磨を行い徐々に突き出しながら使用していきます。
マウントするホルダーがヘールタイプになっているバイトもあります。
・スローアウェイタイプ
刃先を交換するスローアウェイタイプの突切り・溝入れバイトもあります。付け刃バイトやステッキバイトの場合、どんなに上手く刃先を研げるようになっても若干の芯高差が発生してしまい、再研磨を行ったあとは芯高調整を行う必要があります。その必要がないのがスローアウェイタイプのバイトです。
デメリットとしてはハイス材のスローアウェイバイトはあまり出回っておらず、小型旋盤での使用には機械剛性・主軸動力面で硬い材料への使用に向かないという面があります。
・端面への溝入れ
溝入れ加工はワークの内外径のみではなく端面にも加工が行えます。端面への溝入れを行う場合、極浅い溝であれば刃先の逃げ角を大きめに取ることで行えます。深い溝には刃先の逃げ面が干渉してしまうため、専用の形状になっている端面溝入れバイトが必要になります。