心押台によるテーパー加工・・・rev.3
テーパー加工は旋回台を用いて行うのが一般的ですが、心押台をオフセットし両センター支持を行うことで旋回台機能を使うことなく加工が行なえます。
そのため、自動送りも使用できるので長物のテーパー加工に最適です。また、この方法を応用するとテーパーねじ切りを行うことが可能です。
*クイックロック化キットを使用しているとオフセットが十分に行えない場合があります。オフセット量が多い場合は従来のロックベースと固定ナットの使用を推奨します。
・心押台のオフセット
心押台のX方向調整機能は機械のセンターを調整する以外に任意の方向へオフセットして今回のようなテーパー加工を行うような使い方もできます。
デメリットとしては両センター支持にて行う必要があるため重切削向きではありません。重切削を伴う長物のテーパー加工を行いたい場合、最後の仕上げのみに使用すると良いでしょう。
・オフセット量の計算
心押台を用いてテーパー加工を行う場合、心押台のオフセット量を計算します。
旋回台の場合はテーパー比から設定すればそのままワークのサイズ問わず同一の加工が行えましたが、心押台を用いた加工の場合はワークの長さによりオフセット量が変わってしまいます。
オフセット量は以下の式で求められます。
?オフセット量 = sin ( tan-1 ( オフセット比 × 0.5 )) × L
例として、テーパー比1:16、ワーク長さ100mmの場合以下のようになります。
?オフセット量 = sin ( tan-1 ( 1 / 16 × 0.5 )) × 100 ≒ 3.123 [mm]
上記式より、長さ100mmのワークの場合心押台をX方向に3.123mmオフセットを行えばテーパー比1:16での加工が行なえます。
・心押台の調整
心押台を取り外し、各固定ボルトを緩めてオフセットが行えるようにします。
主軸からチャックを取り外し、主軸貫通穴へ固定センターを取り付けます。
心押台にも固定センターを取り付け、センター位置を合わせます。
心押台の心押軸へダイヤルゲージを当て、計算したオフセット値を目安に心押台をオフセットし、固定ボルトを仮止めします。
ワークを両センター支持し、旋回台を用いたテーパー加工と同様に縦送りを使ってテーパー比を確認します。(旋回台によるテーパー加工を参照下さい)
微調整を行い、目的のテーパー比となったら心押台のオフセット固定ボルトを締めてオフセットを固定します。
・実際の加工のポイント
加工を行う際には、心押台側は回転センターにて行うとワークの空回りを防ぐことができます。
固定センターでも心押台側の固定センターに十分油を塗布すれば加工できますが、負荷が大きすぎると空回りしていまいます。
その際は回し金等で回り止めを行うと良いでしょう。