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三爪チャック応用 丸物チャッキング

三爪チャックでのワークのチャッキングテクニック(丸物編)・・・rev.2

旋盤で加工するワークをチャッキングするには様々なテクニックがあります。

・最も基本的なチャッキング

使用するチャックの貫通穴未満の直径爪深さ以上の長さの丸棒が最も安定してチャッキングできる方法の一つです。(1)

チャック貫通穴以上の直径であれば貫通穴へワークを通すことができないため、爪深さを最大に活用することができなくなり、ワークの把握力が弱くなる傾向になります。(2)

1.チャック貫通穴へワークが完全に挿入されているため爪深さを最大まで活用できる

2.チャック貫通穴へワークが挿入できないため活用できる爪深さが限定される

上記の理由により、加工に使用する機械や使用するチャックを選択する際に加工するワークサイズをある程度考えておくと安定して能率的な加工につなげることができます。

・チャック端面を活用したチャッキング

チャック貫通穴へワークが挿入できない場合、チャックの端面へワークを押し当ててチャッキングを行います。

チャック端面側のワーク面が仕上がっていればワークの倒れを防止するとともに穴あけ加工時等にワークのすべりを防ぐ効果もあります。

ただし、押し当てる面が仕上がっていない場合、ワークが振れてフレの原因の一つにもなってしまいます。

この場合、まず軽切削で押し当てる面を仕上げてから再度掴み直して押し当てられるよう段取りを行うのも一つの手です。

・チャック端面を活用したテクニック2

チャック貫通穴以上の外径でもチャック端面へ当てられないようなサイズのワークもあります。(1)

この場合、厚みが均一なプレートなどを使用して貫通穴を塞ぐことにより間接的にチャックの端面へワークを押し当てることが可能です。(2-1)

プレートはチャック貫通穴を塞ぐことができるサイズにて用意し、3つの爪を避けるよう加工を施し用意します。(2-2)

プレートの厚みが不均一であったり、加工時のバリが残っていると均一に当てられないため注意しましょう。

1.チャック貫通穴へ通らないが、チャック端面にも当てられない(貫通穴の面取り部へ当たる)

2-1.平行なプレート等を間に挟む事により間接的にチャック端面へ押し当てられる

2-2.丸いプレートの3辺を切り取り爪の干渉を防ぐ

長いキー材やブロック等で代用する例もありますが、チャッキング後に三爪の内部から抜けてしまうような方法だと主軸を回転させている際に外れて飛んでいく可能性があるため避けましょう。

ただしこの場合、チャックの端面と平行にセットするだけの用途であればチャッキング後に叩いて外してしまうという手もあります。更にワークとブロックの間にペーパー等を挟み込んでおくと叩いて抜く際にキズがつきにくいです。

この方法を応用することで短いワークを端面に押し当ててチャッキングすることも可能です。

チャック端面から爪先までの長さ未満のワーク長さの場合、ワークが爪より奥に入ってしまうため加工を行うことができませんが、上記方法でプレートの厚みを調整すればワークを爪よりも突き出して更にチャックの端面へも押し当てることができるため、安定したチャッキングが可能です。(3)

3.プレート+直径がワーク未満の平行な丸棒等を間に挟み込むことで端面を爪よりも突き出せる

・バリが出ているワークを精度良くチャッキング

爪が当たる箇所にバリが出ている場合、そのままチャッキングするとワークが振れる原因になることがあります。

バリが出ているカドがある程度並行であれば爪の溝にそのバリを逃がすことで精度良くチャッキングすることが可能です。(1)

1.ワークをオフセットして爪の溝部へバリを逃がす

材料を切り出した際の大きなバリだけでなく、面取りを行っていない場合の比較的小さなバリでもフレの原因になることがあるので、バリを貫通穴で逃せない場合はこのようなテクニックを使用することで段取りの効率化へつなげることも可能です。

・外径が大きいワークをチャッキングする

外径が大きいワークの場合、チャックの爪が開ききってしまうことがあります。この場合はチャックに付属する逆爪を使用したチャッキングをします。(1)

例として、125mmチャックの場合は爪の開きがΦ50mm程であるため、Φ49mm程度までしか安全にチャッキングができません。Φ50mm以上のワークでも三つの爪が脱落せずに掴むことは可能ですが、爪の裏にあるギアのかかりが極端に少なくなってしまうため、把握力が弱くなったりギアが痛む原因にもなります。

逆爪を使用することにより、3つの段階で径の異なるワークに対応することができます。一番中心部の爪は通常の爪と同様ですが、他二段は通常の最大把握径より大きい径のワークをチャッキングすることが可能です。(2、3)

1.逆爪は径方向の段が逆になっており、大きい径に対応することができる

2.二段目へチャッキングしている様子

3.三段目へチャッキングしている様子

通常の爪と比べて爪深さが浅いため、できるだけ軽切削にて加工するようにしましょう。端面切削時や内径加工の場合はできませんが、センターにて支持できる場合は行ったほうが安全です。

外径切削であれば切削面の直径が大きくなると切削速度の関係上、主軸回転数が低い傾向になりますが、切削が不安定であれば条件やチャッキングを見直しましょう。

2の写真のようにワークの長さ(厚み)によってはワーク端面より爪が飛び出す場合もあるため、加工時はバイトや刃物台などが干渉しないように注意しましょう。

この場合、通常の外径バイトで端面の切削が行えませんが、プレートを活用してワークをオフセットすることにより加工が可能になる場合があります。チャック端面を活用したテクニック2参照)

・リング形状のワークをチャッキングする

?ワークの直径が大きく、かつ外径を切削したいという場合は逆爪が使用できません。その場合は通常の爪にて爪外側の段付きになっている部分でワークをチャッキングします。(1)

リング形状の内径部に爪をかけるため、爪を開く方向でチャッキングを行います。逆に取り外す場合は爪を締める方向に動かします。

1.通常とは逆に開く方向でチャッキングを行う

逆爪と同様で二段の爪を活用できるためリングの内径により使い分けましょう。

この方法であれば主軸の回転中に爪が遠心力により外側へ押し出され、チャッキングが強くなる方向に作用するため把握力が高まります。

ただしこの方法の場合、内径部の貫通加工が行えないので爪に注意しながら行います。

・短いワークを素早く並行にチャッキングする

?ワークの長さが長く、活用できる爪の深さが十分ある場合はある程度平行にチャッキングできますが、長さが短いワークの場合フレてしまうことがあります。

ワーク端面の精度を極めて高精度にチャッキングを行いたい場合はワーク端面にダイアルゲージを当ててワーク端面とチャック端面または爪との間にシムを挿入したり、ワークを叩いてフレを取り除いていきますが、簡易的に面を出したい場合は心押台を活用することで瞬時に行うことができます。

ワークを軽く把握し、心押台をワーク端面に近づけます。

心押台軸を突き出し、ワーク端面へ接触させます。その後、軽く把握していたワークを心押台軸へ突き当て、その状態でチャッキングをします。

心押台軸の端面精度に依存しますが、このようにすることで簡易的にフレを取り除くことが可能です。

突き当てた際に心押台が動いてしまう場合は、心押台をロックしてから行いましょう。

心押台をロックし、心押台軸でワークを押し込むことでフレを取り除くといった手法もありですので行いやすい手法でやってみてください。

心押台軸の長さが足りない、貫通穴が空いており心押台軸が当たらないといった場合はドリルチャックで延長したり、回転センターの平面部分を活用したりするのも有効です。





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