三爪チャックでの角物加工・・・rev.2
丸物以外のワークでもセンターを出す必要がない場合、角物の面を三爪でチャッキングして加工することが可能です。
写真のようにチャック端面へ押し付けることができるサイズであれば容易にに加工が行えます。
ただし、サイズや形状によっては固定が安定しないため切削負荷を低めに意識して加工を行います。(低回転、低切込み)
また、以下の写真のように貫通穴に通ってしまったり、加工したい面を表にチャッキングすると爪より深くなってしまう場合などはコレットを使用することで先程よりも大幅に安定した固定が可能です。
コレットを使用すれば角物以外にもギアやネジ、ローレット加工されたワークなども傷をつけることなくチャッキングが可能です。
・コレットの設計・製作
簡易的なものであれば、加工したいワークサイズと手元にある材料から製作可能範囲を決めていっても問題ありません。
今回は例として20×17×40のブロックの長手方向面(20×17の面)を加工するコレットの作成を行います。
コレットを使用する旋盤のチャックサイズは125mmチャックです。
計算では対角線長が26.249mmとなりますが、割りを入れるため簡易的なコレットであればある程度の誤差は許容できます。
ワークの対角をノギス等で簡易的に測定し、その値より若干小さめに内径の加工を行って合わせて行けば問題ありません。
コレット自体の厚みはチャッキング時の変形やヘタリに影響するため極端に薄くすることは避けましょう。
簡易的なものであれば1.5〜3mm程度、くり返し使用する剛性が必要なものであれば2〜4mm程度の厚さにします。
厚すぎるとチャッキングの力で十分に変形・保持されなくなります。
長さに関しては最長で使用するチャックの爪深さ程度、最短でもワーク直径・対角線長の1/3〜1/4以上は欲しいところです。
長すぎると製作が困難である上に、爪深さ以上は長くてもあまり意味がありません。
逆に短すぎる場合、製作の際に歪みが生じやすく実際の使用時に変形したり固定が安定しないなどが考えられます。
フランジはコレットを繰り返し使用する際の復元力に影響するため設けたほうがいいでしょう。
幅は使用するチャックの爪先面取り幅よりも若干広くしましょう。
使用する材料はワークに対して傷をつけたくない場合、真鍮やアルミなどの柔らかい素材を選択すると良いでしょう。チャッキングする材料より柔らかければ問題ありません。
丈夫なコレットを製作したい場合は鋳鉄(FC200等)を使用すると剛性が高いため、くり返し使用してもヘタリが少ないです。
以上から今回は用意できる材料がΦ33×12mmの丸材だったので、コレット厚さ1.5mm、フランジ厚さ2mm、コレット長12mmとしました。
コレットをはめ込んだイメージです。
スリットを入れた部分にカドがはまらないよう注意します。
実際に使用してみると以下のようになります。
・一工夫
簡易的なものでなくしっかりしたものを作りたい場合、コレット長を1.5〜2倍程度にしてスリット数を3〜4つに変更、スリットをコレットが分割しないように長くしたところまでで止めると精度良くつかめるものが製作できます。
角物用であればコレットの横にボルトを取り付けられるようにして回り止めとすることもできます。