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ローレット加工

ローレット加工・・・rev.2

ローレット加工はワークの外周へフラッシュライトや工具などについている滑り止めの目の加工のことです。

・加工方式

切削加工転造加工の2種類があります。模様の仕上がりでは切削加工方式が美しく仕上がりますが、ツールの値段が高価です。

転造加工方式にも大きく分けて2種類あり、押し当て式挟み式があります。一般的な汎用旋盤では押し当て式が多用されていますが、機械剛性の面で小型旋盤ではうまく加工できない場合があります。挟み式の場合は2つのコマでワークを上下から挟み込んで転造を行うため回転力は必要ですが、剛性が低い機械でも十分加工が行なえます。

・ピッチとモジュールの関係

ローレットにはねじやギアのようにピッチという概念があり、目の細かさに関係してきます。

・ピッチ

ローレット模様の山と山の間の距離のことです。ギアでいう円ピッチと同様の考えです。ローレット模様の細かさを細かくしたい場合はピッチが小さいコマを用います。

・モジュール

ローレットのホルダーによってはピッチではなくモジュールという単位にてコマの仕様が記されている場合があります。こちらは円ピッチ(基準円)から山の頂上(外径)までの距離のことでピッチと同様に値が小さくなると模様の細かさがより細かくなります。

*円ピッチとはローレットの山と谷の中心から円の中心までの半径からなる円のことで基準円とも呼ばれます。

・ピッチとモジュールの換算

ピッチ値(P)とモジュール値(m)の換算は以下の式にて求められます。

m = P / π

P = m・π

例として、ピッチ値1.0mmのコマは以下のようになります。

m = 1 / 3.14 ≒ 0.318 ≒ 0.32 (近似値)

ローレットのピッチとモジュールは近似値を用います。ピッチ値に関しては10分台、モジュール値に関しては100分台程度で近似して問題ありません。

・加工時の外径

加工を行う際に使用するコマとワークの外径があっていない場合、ローレット模様がずれてしまうことがあります。(2重になる)

これを避けるためには使用するローレットコマのピッチとワーク外径の関係を理解する必要があります。

単純に、ワークの外周長がピッチ値の倍数長であれば2周目以降も同じ山にコマが入り込むため模様がずれることはなくなります。(単一コマの場合)

・使用するコマから外径寸法を求める

例としてP=0.8mmのコマを使用する場合、ローレット加工を行いたいワークがΦ50mmだとすると以下のようになります。(歯数Zを求める)

Z = π d / P = π × 50 / 0.8 ≒ 196.3 [mm]

Zの値がギアで言う歯数であるため、割り切れる整数であれば理論上ズレは起こらなくなります。ただし、ローレット加工はギアほど精密な加工ではないため、コンマ数ミリ程度の値は許容できます。同様の径、材質でテスト加工を行ってみてズレが生じなければOKです。

精密に外径を算出したい場合、上記の式の歯数を整数に近似し、逆算して外径を求めます。

196.3→196とし、

d = Z・P / π = 193 × 0.8 / π ≒ 49.91 [mm]

すでにワークを用意している場合、外径を小さくして対応するしかないため、上記のようにZの値を小さい方向に近似します。するとΦ50mmをΦ49.91mmに0.1mm程度加工を行うことによりズレを抑制することができます。

・実際の加工

今回は転造の挟み式にて行います。挟み式の場合、ホルダーはワークに対して傾けず垂直に取り付けます。(押し当て式は若干角度をつける場合があります)

先程の計算式で外径の計算を行い、予め下加工を行います。

ローレットホルダーのコマ位置を調整します。

Z方向・・・ワークがコマへ1/3程度かかる位置

X方向・・・上下のコマとワークの中心を一致させた位置

ローレットホルダーのコマとワークへ切削油を塗布し、主軸を低回転で回転させます。

ローレットホルダーのコマを調整ハンドルを回してワークへ締め付けていきます。徐々に締め付けていき、ワークの模様がついてきたらOKです。

自動送りを使ってローレット加工を行いたい範囲に模様を広げていきます。自動送りのスピードは0.1mm/rev程度に留めてください。

終わりまで来たら一旦主軸を停止し、ローレット模様の深さを確認します。浅いようであれば主軸を逆転させ、調整ハンドルを若干締め付けて再度ローレットを開始位置までかけながら戻していきます。(数回に渡って往復して行うと良いです)

・加工のポイント、うまくいかない場合

ローレット加工は慣れてくるまで試験加工を行ってから本番を行ったほうが良いです。

また、一番最後にローレットを加工すると失敗したときにすべてやり直しとなってしまうため、できるだけ序盤に加工することをオススメします。(負荷が大きいため滑って傷をつけてしまうことがあります)

ローレット加工を行ったワークをチャッキングする際にはコレットアダプターを使用すると傷をつけずにしっかりと保持することができます。

・模様が2重になる

→使用するコマのピッチ、モジュールに対して加工を行うワークの外径が合っていない

加工時の外径で解説した式にて外径の調整を行ってから加工を行ってください。

→押し付け、挟み込み力の不足

初期の押し付け、挟み込み力が不足していて2つのコマの同期が取れていない可能性があります。特に単一コマタイプでない場合に起こりやすいです。

また、ワークが逃げると起こりやすいので小径ワークの場合はセンター等で支持すると防止できる場合があります。

→コマとワークの位置関係に大きなズレ

押し当て式で2つのコマのタイプの場合は2つのコマがワークに対して同じ量あたっていないと2重になりやすいです。この場合、高さを調整します。

挟み式の場合は横送りの位置調整で2つのコマの中心とワークの中心位置が1つの線上に一致させる必要があります。

このズレが起きているとワークの逃げ同様に2重になりやすいです。

・ローレット目が荒れてしまう

→押し付け、抑え込み力の不適合

弱く抑えていると模様が2重になりやすいですが、強すぎても目が荒れてしまう原因になります。試験加工にて荒れてしまった場合、若干弱めにすると良いでしょう。

・コマが欠ける、焼き付く、寿命が短い(すぐに摩耗する)

→回転数・送りを低くし、十分に潤滑油を塗布する

硬めの材料へ加工を行う場合、特にコマへの負担が大きくなります。回転数・送り共に上げすぎないように注意しながら加工を行います。また、切削油を十分に塗布しないと焼き付きやすくなってしまいます。





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