リーマー・タップ加工・・・rev.2
ドリルチャックや固定センターを用いてリーマー・タップを芯を出して固定し、加工を行うことができます。
そもそもリーマー加工というのは精度の高い穴を加工する方法で、フライス盤や手動での加工も行われます。
今回は旋盤を使用した加工方法を解説します。
・リーマー加工段取り 1下穴加工
心押台にドリルチャックを取り付け、使用するリーマーの下穴を加工します。(1-1、1-2)
使用するリーマーにもよりますが、多くの製品には下穴の範囲が定められているため、それに従って下穴のサイズを決めます。
ドリルが滑って芯がズレてしまうため、ドリル加工の前にはワーク端面の面出しとセンター加工を行いましょう。
1-1.下穴サイズのドリルの前にもう一段階小さい穴あけをしてから下穴サイズの穴あけをします。こうすることにより精度良く穴あけが行なえます。
1-2.最終下穴サイズの穴あけを行います。
・リーマー加工段取り 2リーマー加工
下穴の加工が終わったら切子を十分に排出し、リーマー加工に移ります。
止まり穴の場合、特に細いリーマーは奥に当たってしまうと破損したり精度良く穴が仕上がらない原因になるため、穴深さを確かめてからリーマーを挿入していきます。(2-1)
2-1.止める深さをリーマーへマーキングしておくとわかりやすいです。
リーマーへ十分に油を塗布し、主軸を極低回転で回転させながらリーマーを進めていきます。(2-2)
感触を確かめながら行いたい場合は、主軸手回しハンドルを使用して手動で主軸を回転させるものありです。
その場合は回転方向に注意し、逆回転させないように注意します。(退避時も正回転です)
2-2.小さいリーマーの場合は切子が詰まりやすいので、異音や違和感を感じたら一旦完全に退避させて再度切削油を塗布後、再挿入させていきます。
・リーマー加工段取り 2穴径の測定
今回はΦ3mmのリーマー仕上げにて行ったので、下穴加工はΦ2.5mm→Φ2.9mmとし、主軸回転数は使用した旋盤(PSL400-VD)の最低回転にて行いました。
穴精度は小径であればピンゲージや内径用マイクロメーター、大径であればシリンダーゲージ等で測定するのが一般的ですが、Φ3mmやΦ4mmなどの細かい寸法でない場合エンドミルなどの精度の高いシャンクの工具を挿入すれば簡易的に確かめることができます。
・タップ加工
リーマー加工と同様の方法でタップの加工も行えます。
旋盤を用いてタップ加工をする利点としては、下穴がきちんと仕上がっていれば真っ直ぐに精度良く雌ねじが加工できるという点にあります。
手動でのタップ加工の場合、目視で傾きを合わせるしかないので厳密には真っ直ぐな加工が行えません。
・タップ加工段取り 1下穴加工
下穴あけ→面取り→タップ加工
リーマー加工と同様に下穴の加工から入ります。(1-1)
リーマー加工の下穴と異なるのは、タップ加工に入る前に面取りを行っておく必要があります。(1-2)
面取りを行わずにタップ加工を行うとタップの初期切り込みがやり辛く、更にバリが盛り上がってしまうため先に面取りまで行う必要があります。
1-1.今回はM5P0.8のタップを使用するため、Φ4.2mmのドリルを使用します。
1-2.90°のカウンターシンクやセンタリングドリルを使用します。皿ネジ穴の場合は120°を使用します。通常の面取りより若干深めに行うのがポイントです。
・タップ加工段取り 2タップ加工
ドリルチャックにタップを取り付け、手動にて主軸を回してねじ切りを行っていきます。(2-1、2-2)
主軸をモーターにて回転させて行うと、切子が食い込んだ際にタップが破損していまう危険があるため必ず手動で行うようにします。手回しハンドルを活用すると作業が行いやすいです。
一般的には貫通穴へは剛性が高いポイントタップを使用し、止まり穴へは切り粉の排出性が高いスパイラルタップを使用します。
2-1.タッピングペーストやタッピング用の切削油を使用します。
下穴へタップの先を軽く当てたら心押台ハンドルを回してタップを進めていきながら主軸を手動で回していきます。(2-2)
1回転ごとに半回転ほど逆回転させ、切子を切っていきます。感触がかなり重くなったら一度取り出し、切子の掃除を行ってから再度挿入していきます。
2-2.進入角度が重要なので、最初の数山(3〜4山)が加工できたらタップを取り外してタップハンドルにて進めていっても問題ありません。
面取りを十分をこなっているとバリが出ません。
貫通穴にてタップも貫通させる場合は反対側も面取りを行うようにしましょう。
・タップ加工 小技
上記写真のタップのようにセンター穴付きタップの場合はドリルチャックがなくても固定センターか回転センターがあれば同様に加工が行なえます。
タップハンドルをベッドや送り台へ当て、回り止めとして使用すれば同様に加工が可能です。
こちらの方法であれば、ドリルチャックのようにタップが滑って回ることがないため特に大きな径のタップ加工に有効です。
タップハンドルがない場合、四角シャンク部に対応するスパナをかけて回していくことも可能です。