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[ G33 主軸同期モード ※通常は使用しません。高度に追及する方向けの内容です。 ]

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 G33は旋盤における主軸の回転と 送り台(X、Z軸またはその両方)の動きを同期させる指令です。
一定の回転を行うと送り速度に関係なく、指定した距離を同期して動作します。すなわち、ねじ切りに用いられるGコードとなります。また、ねじ切りだけでなく、端面にうず模様の溝などを切削することも可能です。もちろんテーパーネジもG33にて切削することが可能です。
・ねじ切りについて
 汎用旋盤でねじ切りを行う際には自動送り機能を使用して切削を行います。親ねじのピッチは一定であるため、その親ねじを主軸に同期させて回転させているギアの付け替えで切削するピッチに対応させます。
CNC旋盤では主軸回転のインデックス装置という主軸の回転をカウントする機能で送り台と主軸の回転を同期させています。通常の切削では同期を行っていないため、たとえば外径切削を行う際に外周のバイト進入角度はランダムですが、G33などの同期を行う指令を使用した場合は毎回同じ進入位置(回転角)となります。
・CNC旋盤でのねじ切り
 G33を使用したねじ切りの他にもG76というネジ切りサイクル(スレッディングサイクル)がLinuxCNCで使用可能です。これらの違いとしてG76の場合は各パラメータに数値を入れるとその数値を元に演算が行われ切削されていきますが、G33の場合1つのパスに対しての同期のみとなりますので1回あたりの切込み量などを計算して切り込む回数分プログラムを行う必要があります。すなわち、G33は汎用旋盤でのねじ切り作業のイメージに近いということになります。G76は内部的にG33の主軸同期を使用して各パラメータにて演算された数値から自動的に切削を行っています。
汎用旋盤でのねじ切り経験があり自身で切削の段取りを行いたい場合や、荒削りと仕上げの切り替えタイミングを任意に変更したい場合、機械や使用する刃物の都合上詳細に段取りを行いたい場合などはG33の使用をお勧めします。

・各パラメータ

G33 Z(またはX) K

Z(またはX) 移動量

K 切削ピッチ

 上記のようにG33としてはこれだけのシンプルなコードになります。テーパや端面への加工等でない通常のねじ切りであれば、このG33指令の前にX方向の移動(切込み量の決定)を行いZ方向のG33(スピンドル同期)による切削を行っていきます。
 
 実際に簡単な例を解説していきます。また、ねじ切りについての詳細な座学などについてはG76のねじ切りに関する資料を参照してください。今回はM10並目の雄ねじを例にプログラムを考えていきます。以下のような寸法とします。
ねじ山高さ H = cos30° × P ≒ 0.866025 × P
切込み量 a = 5/8 × H +1/12 × H ≒ (0.541266 + 0.072169) × P = 0.613435 × P
としたときM10(並目はP1.5)の場合ねじ山高さが1.299mm、最終的な切込み量が0.920mmとなります。
切込み量は雄ねじの場合山の部分であるH/8谷の部分であるH/4を引いた5/8×Hにバイト刃先のノーズRを加えた値となります。今回はわかりやすいようにH/12で固定しますが、スローアウェイタイプのバイトを使用する場合はカタログ値を使用する方がいいでしょう。(例:P2.0、R0.05の場合切込み量 a→(0.541 + 0.05) × 2.0 = 1.182)
 次に、切込みの段取りを考えていきます。通常、荒削りを行った後に仕上げの切削に移りますが、今回はG33の理解をまずしてもらうために底を省略して簡単に段取りを行います。切込回数は6回に分けて行い、X方向の切込みのみで切削を行うものとします。以下にX軸の切込み量と実際の座標をまとめました。(X軸座標はG7→直径モードでの数値ですので、G8→半径モードでは単純にX方向の値を半分にします)


切込  切込量  X軸座標
回数
1    0.153  9.847
2    0.306  9.694
3    0.459  9.541
4    0.612  9.388
5    0.765  9.235
6    0.920  9.082

これらを元に、プログラムを行っていきます。冒頭で説明したとおり、G33の場合は切込む回数分のプログラムを書いていきます。
ワーク直径10mm、原点端面中心、ねじ長さ10mmとしたときの繰り返しプログラムは以下のようになります。
G0 X20 Z5 ;スタート位置
X○○ ;切込み位置移動
Z0.2 ;Z進入、スタート位置
G33 Z-10 K1.5 ;ねじ切り ねじ長さ10mm、ピッチ1.5mm
G0 X20 ;X退避
Z5 ;スタート位置
これらをXの切込み量、X○○を変化させながら切込み回数分だけ繰り返していきます。例ではヘッダを省略していますが、G33が実行されるまでに主軸の回転が行われていないとエラーとなります。
先ほどの表を当てはめると以下のようになります。
G0 X20 Z5
X9.847 ;1回目
Z0.2
G33 Z-10 K1.5
G0 X20
Z5
X9.694 ;2回目
Z0.2
G33 Z-10 K1.5
G0 X20
Z5
X9.541 ;3回目
Z0.2
G33 Z-10 K1.5
G0 X20
Z5
X9.388 ;4回目
Z0.2
G33 Z-10 K1.5
G0 X20
Z5
X9.235 ;5回目
Z0.2
G33 Z-10 K1.5
G0 X20
Z5
X9.082 ;6回目、終了
Z0.2
G33 Z-10 K1.5
G0 X20
Z5


 上記の例は簡単にX軸方向のみ変化させて行うねじ切り(ラジアルインフィード)を行いましたが、実際の切削になるとピッチ(P1.5以上)や被削材によっては刃先に大きな力がかかりびびりや欠けなどの原因になります。特に荒削りではX方向の切込みだけでなくZ方向の開始位置を変化させて刃先の片側のみで切削を行っていく方法(フランクインフィード)などが使用されます。

以上、記事

以下、追加分メモ
荒削りは、ねじ切りバイトの左側の刃のみで切削していきます。すなわちX軸方向の切り込みだけではなく、谷部分の中心に対してZ軸方向の切込み位置も変更する必要があります。左側の刃のみで切削していく理由としては、左右の刃に切り粉が接触するため刃先への負担がかなり大きくなり、びびりの原因にもなります。細かいピッチの小さなねじであれば1回の切り込み量が少ないので問題ないこともありますが、ピッチが粗い大きなねじの場合は無視できない問題となります。この切削方法をフランクインフィード(片刃切込)と呼びます。

tan30° = 0.577350
X1としたときのZ移動量
 ラジアルインフィードをG33にて使用する場合はG33の直前に移動するZ方向移動を変更します。



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